ある成人のお話

成人式の後同窓会でした


小学校の同窓会にも誘われたのですが、先に約束があった中高のに行きました


心配事がありました


心配事というのは元カノと元々カノのことなのでした


お互いに険悪なので、どうしようもないのです


もし何か起きたらと考えると胃が変でした


結果、来たのは元カノのみでした


実はボクは元カノのことがいまだに好きなのです


元カノと少し話し、他の人とも適当にしゃべっていると同窓会は終わりました


どうやら、元カノは彼氏と、なんと今日別れたと言っていて


絶対に精神的に危ういと思ったのと、自分が話したいという気持ちもあったので、同窓会が終わったあとに誘いました


二次会にいかず、どこかでお茶でもしようという話になったのですが


彼女はツンデレです。そして気分やです。猫かぶりです。


途中で寒くなったのか機嫌が途端に悪くなりだし、もう帰っていいよとか、送らなくても自分で帰れるからなどと言い出しました


ひどいことも結構ズバズバと言ってくるのですが、自分にはそれが素直なだけだとわかっているので我慢できました


なんとか彼女をなだめ、帰る途中の有楽町で降りて適当にお茶することになりました


どうやら彼女の機嫌がわるかったのはタバコがなかったせいのようです


タバコを買ってあげ、お店に入って少し話すと彼女の機嫌は割と直りました


送らなくていいとまた言いだす彼女についていって、家まで送りました


二人で歩いているとなんだか昔のような気がしてとても懐かしく、少しだけ幸せでした。隣にいる彼女は前よりもずっときれいになっていて、マンションの下まで着くと、やっと彼女が笑ってくれました


たぶん、僕は何かを期待していたのだと思います。不謹慎なことです。カバンに入らなくて彼女の代わりに持っていた、彼女の分の同窓会のお土産を自分のカバンから出すときに、色々な考えが頭をよぎりました


頭を撫でてあげようとか、少しだけ抱きしめてあげようとか、頬にキスくらいなら許されるのではないかとか


知ってか知らずか彼女は手をこちらに伸ばしました。たぶん自分の気持ちが顔にでも出ていたのでしょう。ボクは伸ばした手に元同級生が作ったクッキーを載せました


微妙な距離はそれ以上縮むことなく、彼女は後ろを向いて歩きだします


「じゃ、わざわざ送ってくれてありがとう。……ちゃんとレポートやるんだぞ? じゃあね」


離れていくにつれて胸が苦しくなって思わず声が洩れます


「――――ちょっと!」


「なんだよ」


「……なんでもない……」


「ん? ちゃんと帰りなよ? バイバイ」


僕はそこに少しの間立ち尽くしました


久しぶりに胸が痛くなったことに驚き、頭が変になったボクは帰りの電車に揺られながらメールを打っていました


途中、メールが来て、それは彼女からでした


少し優しい調子のメールに、思わず別れてから少ししか時間が経っていないというのに電話をかけてしまいました


喋っている途中で、また彼女の気分を悪くさせてしまったようで、彼女は電話を切りました


ボクは途中だったメールを書き終わらせて送りました


それでもう終わりだと思っていました


苦しいのはボクだって嫌なので、全て忘れようと思ったのです


謝罪と説明をして、少しだけ自分の気持ちを綴った最後のメールには少し経った後、返信が来ました


彼女はメールが嫌いな人です。返してくれたというだけでまた少し嬉しくなっている自分がいます


内容には「私はあなたのことをマジで大事な友達だと思ってるから、そういう風に思ってくれると嬉しい」とありました


ボクはまたどん底に突き落とされました


報われない恋というのはどうすればいいのでしょうね。


終わりです